フクシマ ヒサシ
福島 尚
FUKUSHIMA Hisashi
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所属部局 |
人文社会科学系
人文社会科学部門 |
所属学部・学科・コース等 |
人文社会科学部
総合人間自然科学研究科(修士課程) 人文社会科学専攻 |
職名 |
教授 |
連絡先
E-Mail |
hukusimakochi-u.ac.jp |
TEL |
088-844-8184 |
専門分野
日本古典文学(特に院政期から室町時代までの文学を主たる研究領域とする)
主な研究テーマ・活動
・『続古事談』・『十訓抄』・『春日権現験記絵』等、中世説話集の研究。
・日本古典文学における「説話」関連領域の研究。
・『俊頼髄脳』等、院政期・鎌倉期の歌学書の研究。
研究についてのPR
日本古典文学(主として、平安時代末の院政期~室町時代の間)の説話関連領域を中心に研究しています。説話とは、時間的・空間的に伝承される話のことですが、これは時代の古今を問わず存在するもので、現代の噂話も説話の一種です。院政期から室町時代の間は、文学史上「説話の時代」といえる時代で、様々なジャンルの文学の基盤に地下水脈のように説話伝承の世界が存在し、それが多くの作品に多大な影響を与えました。一つ実例を挙げてみましょう。
『平家物語』にこんな話があります。平家が源氏に追われて九州まで落延びた時、それを追い払った勇将に緒方三郎惟義という者がいた。昔、豊後国の山里の娘の許に夜な夜な通ってくる男がいて、娘は孕んだ。不審に思った母親の入れ知恵で、男の着物に糸をつけた針を刺し、その糸をたどって住処を探索したところ、男の正体は優婆嶽の洞窟に住む大蛇であった。やがて生まれた男子は、大蛇の予言の通り、弓矢打物を取っては九州に比肩する者無い勇士となった。これこそが、惟義の五代前の先祖である。件の大蛇は、日向国高知尾明神の神体だという。
この話は、『古事記』にも奈良県桜井市の三輪山の神にまつわる神婚説話として見える三輪山型という説話です。緒方惟義の祖先の話の場合は、この型の説話が遠く九州の地で伝説化したもので、それが『平家物語』の一コマとして取り込まれたものです。
説話は、このように時間的・空間的に広範な広がりを持ちます。また、説話の伝承の有様を勉強していると、現代にも通じる、社会の中での情報の伝播や、意識・無意識の情報操作の有様なども窺えて、大変興味深いことです。
社会人・生徒を対象として可能な講演・授業
〈古典講読〉。たとえば、2002年公開講座のリレー講義「死ぬこと生きること」の1回分で、「日本古典文学に描かれた生と死」と題して、次のような講義を開講。〈生と死の問題は、この世に生きる者にとって最も身近で根源的なものである。それ故、それを題材とする文学作品は多い。今回は、そのうち、浄土教が広く浸透した時代である中世の説話を読みながら、そこに見える死生観について考える。〉
また、2004年度の放送大学高知学習センターでは、「『方丈記』を読む」という題目で次のような対面授業を開講。〈『方丈記』は、もともと住居の文学の流れの中に位置するものなので、その点に留意して、その先蹤となった、慶滋保胤『池亭記』なども併読し、それとの比較を通して、『方丈記』の特質について考える。〉